還暦を前に平凡ながらが望んでいた生活を送れるようになった。
さあ、これから趣味を楽しもうと考えながら本棚を探っていた時、ファイルの束がドサッと落ちてきた。
若い頃自分を良く見せようと、そのままの自分を出さず仕事をしていた時の息苦しさ、いつの間にか、そうした苦しさの自覚のないままに過ごしていた自分自身への嫌悪感からくる「後悔」から逃れたいと、近畿一円、中国地方、四国の神社仏閣の参拝に明け暮れていた時のものだった。
参拝することで後悔していた自分の決断や行動したことに反省も含め折り合いをつけ「後悔の念」から抜け出られたつもりでいたのに。
何故か心に灰色の影が罹る不安を覚えた。「このままではまた、後悔の念に囚われてしまう」今は幸いにもたっぷり時間がある。
今度は、後悔していた過去を顧みるだけでなく、物心ついた幼い時からの自分と向き合って行こうと自分自身に言い聞かせ、ゆっくりと過去の自分を思い出していった。
そして泣いた。辛く夢でも涙していた。でも、不幸とは違う哀しさだったのか、不思議と心は沈まなかった。過去は変えられない。今の自分から見れば「間違った選択」であっても当時の自分は「正しいと思って出した選択」であったはずだ。だが、正しいと思って取った行動のはずでも、後になって見なければ分からないこともある。年齢を重ねて間違った選択だったと気付くことも多い。それゆえ「あの時をもう一度やり直せたなら!」と考えてしまう。しつこいようですが「過去」は変えられない。「後悔」から学び未来を変えることはできても、起こってしまった出来事を無かったことには出来ないのが事実である以上、間違った選択をした自分を認めよう。そうする事で、後悔し悩み苦しんでいた自分も思い出されてくる。そんな自分を受け入れることが出来ればきっと、後悔の気持ちも軽くなると思う!