言葉の違い
「姑息(こそく)」の言葉を、「卑怯(ひきょう」の意味で使っていませんか?
これ間違い!本来の意味は、「一時しのぎ」という意味と国語辞典に記載されており、「一時の間に合わせとして行うこと」やその様子の事を表しています。
しかし、多くの人が姑息を「卑怯」という意味で使てしまっているようで、私もその一人でした。
姑息の由来は、中国の儒教の経典である「経書」の一つ、「例記」にあるとされています。
孔子の弟子、曹子が病床に伏している時に、言い残した言葉に「君子の人を愛するや徳を以てす。細心の人を愛するや姑息を以てす。」(君子たる者は大義を損なわないように人を愛するが、度量の狭い者はその場をしのぐだけのやり方で人を愛するのだ。)このことから姑息は、「一時しのぎ」という意味になったようです。
言葉の語源としては、姑息の「姑」の読み方は「ひとまず」や「しばらく」で、「何かをする際の動作や行動を少しの間、そのままにしておく」という意味があります。
そして「息」ですが、「呼吸」を表し、「休息(息をついて休む)」にも使われるように、「息」の漢字には「一休み」の意味もあります。
このことから、「卑怯な性格」や「姑息な人」などの使い方は間違いになりますね。
では、どうして「姑息」を「卑怯」という意味で捉えられたのでしょう?
その理由としては、「根本的な解決をせずに、とりあえず一時しのぎで間に合わせる」という意味から「卑怯」を連想させられることが挙げられています。
また、姑息の発音が卑怯な意味を持つ「こそこそ」や「こっそり」などと似ているためとも言われています。
「姑息」は名詞や形容動詞として使うのが正しい使い方です。
○姑息な手段 ○姑息な真似をする ○姑息な答弁 ○姑息にしかならない ○姑息作業
○姑息な対処方法…など、一時的に急場をしのぐ意味合いとして使われています。
ところが、医療業界で使う場合にはニュアンスが変わっています。
病気の根本的な治療手術(根治手術)のために必要な準備段階ともいえる手術や、症状を軽減させる目的による負担を抑えた手術を「姑息手術」と呼ばれます。
患者や症状によっては、根治手術がすぐにできない場合も有り、根治手術ができる状態になるように、姑息手術を繰り返して状態を良くしていくものです。
同じ意味合いで「姑息的療法」もあります。
病気の原因を除去する治療ではなく、痛みなどの症状を軽減させるための治療方法(対処療法)の事を指します。
一般的には、「一時しのぎ」や「間に合わせる」といった意味の姑息を使っているため、治療の際使われると心配になりますね。
でも、あくまでも患者の状態をよくするための治療なので心配ありません。
ほんの一部ですが、姑息の意味・使い方を書いてみました。お疲れ様でした!
参考資料:Domani/ライフスタイル・雑学