連日の猛暑に、庭の花木も元気がない。朝6時、節水のワードを思いながら、水やりをする。風通りを考え窓や戸を開けているも、11時には室温31度。堪らず冷房をいれ、新聞を読みはじめる。
コロナウイルス感染者数低下の鈍化、ロシア軍のウクライナ攻撃の激化、気象の変化(地震、水害)で、国民の生活にはいろんな影響が出ている。
生きずらささえ感じる今、参院選に向けて紙上でうったえている公約は、どれも言うだけの実現に乏しい主張に思え、未来に不安さえ抱く。
そんなモヤモヤ気分を、読み忘れていた夕刊の一面が変えてくれた。
朝日新聞6/27(夕刊)
修学旅行 礼は箸袋にあり
コロナ禍で苦しんだホテル本能寺、修学旅行生の粋な計らいに感激
出発したばかりの修学旅行生たちが食べた朝食を片付けていて、旅館のスタッフらは幾つものメッセージが残されているのに気づいた。
「何か書いてある」「こっちも」「すごいね」その場にいた10人ほどの声が自然と弾んだ。
ここは京都市中心部の旅館「ホテル本能寺」。織田信長が明智光秀に討たれた「本能寺の変」の本能寺を主要株主とする会社が、1962年から運営する。
全国の修学旅行生をお得意様とするが、コロナ禍の直撃を受けた。
昨年と一昨年は修学旅行の中止が相次ぎ、一般客も含めた宿泊者数は例年の7割減になった。
昨年秋から修学旅行生が戻り、活気が戻ってきた。
そして今年の6月11日朝。スタッフらが見つけたのは、こんなメッセージだ。
〈3日間 美味(おい)しいご飯をありがとうございました!〉
〈一生の思い出です〉 〈とってもおいしいご飯をありがとうございました。3日間のエネルギーになり、京都を楽しむことができました。ホテル本能寺最高~‼〉
お膳の代わりの敷紙や箸袋に書かれていた。笑顔のイラストも。
汚れないように気をつけて回収してみると、その数は50を超えた。
副料理長の小貫隼人(おぬきはやと)さん(32)は「裏方仕事で、お客様の声をじかに聞けないのでとてもうれしい」と話す。
この「置き土産」を残したのは、埼玉県新座(にいざ)市立第二中学校の修学旅行生。3年生と引率者が2泊していた。
伊藤進校長(61)は、JR京都駅まで見送りに来た旅館スタッフにこの話を知らされた。
教師は生徒に何も指示していなかった。
「今回旅行に行けたのがうれしくて、いっそう、感謝したかったのでしょう」
支配人の小林訓(さとる)さん(51)は「また頑張ろうという気持ちを与えてもらった。修学旅行生の受け入れはいいなと改めて思う」と話した。
旅館は、生徒らの出発の3日後、ツイッターで次のように発信している。
「お食事を作るの事は私共の毎日の仕事ですが、こんな嬉しい事はありません。
皆様の思い出作りのお手伝いが出来て光栄です。
生徒の皆さん、地元に戻られても元気でお過ごし下さいね。調理場一同より」
2022年(令和4年)6月27日(月)朝日新聞 (夕刊)(小西良昭)
この記事で、修学旅行生(新座市立第二中学校)の生徒さんたちの優しさ、思いやりの行動とホテル本能寺の心ある対応を垣間見る事が出来た。
今日は、何だかよい事が起きそうに思えた。