今迄、お盆に顔を見せることが無かった長男夫婦が生後七ヶ月になる赤ちゃんを連れて来てくれた。
再婚同士の私達夫婦にとって内孫になる「孫ちゃん」。
長男に抱っこされニコニコしていたのに、私の顔を見るなり大泣きしちゃいました。
間髪入れず、「今、人見知りの時期で、誰にでもなんです。」とお嫁ちゃんが、言ってくれました。
心づかいの出来るお嫁ちゃんです。
ところが、どうでしょう。
「○○ちゃん、ジージだよ」と主人が顔を近づけると、泣き止み、そのモミジのような可愛い手が、主人の顔を摘まんだのです。
主人は「ジージに、触ってくれるの」と云いながら抱き上げ、あやすように孫ちゃんに話しかけると、孫ちゃんは言葉にならない声を出して笑うのです。主人の嬉しそうな顔。
長男もお嫁ちゃんも、もちろん私も優しい笑顔になっていました。
思わず「血の繋がりってすごいなあ」と、声を出してしまった私でした。
ふっと、視線を感じ、左上の鴨居に掲げてある主人の両親と祖父母の遺影に目を向けた時です。
小さな写真を引き伸ばしたせいか、ぼやけている四人の遺影。
ところがそのうちの義父と義母の遺影がハッキリとした表情になっていくのです。
しかも、やや緊張気味の義母の表情が笑顔になったのです。
数秒後、二人の遺影はいつも見るぼやけた写真に戻っていました。
「今の何?」と心で呟きながら遺影を見直しながらも、両親が「喜んでくれている」と感じられたのです。
話すことが出来なくなるまで私に「息子の事を頼むわね」と言って逝った義母!
この義母に会って主人との再婚を決めたぐらいで、私はこの義母には運命的な繋がりを今も感じています。
世間で言う霊感は私にはありません。
今日の出来事は、私の錯覚でぼけた写真が私自身が見たいという思いが作り出したものだったのかもしれません。
でもそこには、家族の繋がりから生まれる幸せの時間があったことは確かであったと感じるのです。