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夕刻6時半頃、時間を置かずに濃藍の夜の色への変容に、秋の気配を感じるも、冷房をかけずに居られない。
ところで、八月の下旬に入った頃から蝉の鳴き声が止んでいる。(台風の影響もあったのだろうが)
また、いつもなら生を終え仰向けになっている蝉を見つけては、庭の梅の根元の土に返していたが、九月になった今も、一匹もおくっていない。
それどころか、夕暮れ時に神社の方から聞こえていた「ひぐらし」の鳴き声も、一度も聞けていない。
茜色の染が入った夕焼け空を遠くに眺めながら、消え入るように鳴く、哀愁を漂よわせた「ひぐらし」の声に、気持ちが癒されていたのに哀しい。
日々の暮らしに、当たり前のように溶け込み、おとずれていた自然の移ろいに、心を和ませていた幾つもの風情が、年を追うごとに薄らいでいくのが無性に寂しい。